
日本で子連れ再婚はどれくらいあるでしょう。一説によると、年間2万件ほどあるそうです。1クラスに一人くらいはあり得るということですね。でも実際に自分がその立場になってみると、簡単ではないと思います。私も以前の記事で我が家の実情を述べましたが、連れ子の性格や自分との相性もあってすんなり仲良くとは行きません。実子でも子供の育児、子育ては大変だと思いますが、連れ子もなかなか大変だと思います。
●本日のお題
連れ子となんとかやっていくにはどういうやり方があるの?という疑問に私の実例を紹介します。
私は妻の連れ子が4歳の時に結婚しました。それから5年、連れ子とは関係を破綻させず何とかやってきました。その間に実子も生まれ、一軒家も購入し、連れ子の小学校入学、転校などもありました。子供が荒れた時期もありましたが、今のところ子供との関係は悪くないです。現在まで子供との関係を保てている理由を、これまでを振り返って考えてみます。実際に子連れ結婚を送っている男性目線の気持ちの一例として、これから子連れ再婚を考えている人の参考になれば幸いです。
連れ子の性格

まず連れ子の性格ですが、連れ子はなかなかに面倒くさい性格をしていたので、かなりムカつきました。こちらが「やっちゃダメ」と言ったことをわざとやって「ニヤリ」と笑う。アイスが食べられないと1時間泣き続ける。公共の遊び場でそこのおもちゃを独占する。隣の子を叩く。こちらのことを蹴る。「前のパパがいい」と言う。こちらに向かってバカだのデブだのゴミだの言う。ご飯だよと言ってもすぐに来ない。食事が始まってものんびりだらだら食事する。食べてる途中で遊びだす。「これ嫌い、まずい、もういらない」と言う。食べ終わっても片付けない。朝だよ起きようと言っても起きない。寝る時間だから寝るよと言っても寝ない。学校行きたくない宿題やらないと言う。5歳になっても6歳になっても7歳になってもベビーカーに乗る。出掛けるよと言っても仕度しない。すぐ機嫌を悪くして「もう行かない」と言う。何とか出掛けてもすぐキレて「もう帰る」と言う。逆に帰る時間になっても遊び続ける。靴を履くのが異様に遅い。キレて大声でわめく。ドアを蹴る。延々とテレビを見続ける。蟻を見つけると踏みつぶす。他人に向かって「あの人ハゲてる」と言う。レストランで椅子の上に立って踊る。新しいことにはビビッてチャレンジしない。おねしょが直らない。なかなかオムツが取れない。「誰が一番好き?」と聞いてくる。こちらの都合お構いなく「遊んで」とくる。「あれ買って、これ買って」と言う。弟を叩く。「弟ばっかりずるい」と言う。うまく行かないと「ママのせい」と言う。など。全般的に、人の話は聞かないけど人には言うこと聞いてほしい、自分のことは構ってほしい構ってちゃんな感じです。もしかしたら愛着障害というやつかもしれません。
連れ子とそれなりにやっていく方法 ~育児も対人関係~
連れ子とやっていく方法というか考え方で、私が気を付けているものをざっと挙げるとこうなります。『子供も一人の人間だとみなして尊重する』『自分自身に傾聴スキルを付ける』『子供に期待しない』『自分の人生は自分で整える』『一緒に楽しく過ごす方法を考える』『相手が困っている時は助ける』『干渉し過ぎない』『細かいことは気にしない』『いい親になろうとしない』『外部を頼る』。これらは決して簡単にできるとは言えません。簡単ではないが、自分も相手も平和に過ごせるようにしようと覚悟したなら、こういう道になると私は思います。
・子供も一人の人間だとみなして尊重する
私の基本姿勢はこれに尽きます。相手が1歳だろうと5歳だろうと10歳だろうと変わりません。自分の人生なんだから好きにしなよ、と思います。それを踏まえた上で、一緒に楽しく過ごせるならそうしたいと思います。子供に対して自分のほうが上だとか自分の方が正しいとかは別に思いません。ただ、相手に邪魔された時は「俺の邪魔すんじゃねえクソが」と思います。私はできるだけ自由に楽しく生きたいと思っています。なので相手もそうすりゃいいです。そこで、共同生活における課題は自分の幸せと相手の幸せの両立です。自分のことは自分で幸せにする。相手の幸せは相手が決める。可能なら相手の幸せを支援する。それができると思うから一緒にいるわけで、できないと分かったら別に一緒に暮らすことないです。
尊重することには「待つ」ことも含まれます。連れ子には連れ子のペースがあって、それはかなり、ゆっくりかつ寄り道だらけです。こちらは「待つ」のが仕事なんじゃないかと思うことも。
・自分自身に傾聴スキルをつける → 決めつけない
傾聴とは相手の話を聞くということですね。これはお互いの心を平和にして相手との関係をよくするのにとても重要です。人は自分の話をちゃんと聞いてもらえるとすっきりします。それは子供でも変わりません。逆に話を聞いてもらえないと思えば相手にムカつきます。子供のことを観察してみると、子供の行動には子供なりの理由があります。私の役目はそれにダメ出しすることではありません。私の役目は子供の話を共感的に聞くことです。なぜか?それが子供の心の平和につながるからです。子供はいいます。「学校の宿題大変なんだよ」「先生怖いよ」「アイス食べたい」「学校行きたくない」「宿題やらない」。私は答えます。「そうか」「そうなんだ」「たいへんだね」。子供はいいます。「弟ばっかりずるい」「前のパパがいい」「ママ死ね」「死にたい」。私は言います。「そうか」「そうなんだ」「たいへんだね」。子供の言うことを否定することが私の役目ではありません。子供の気持ちは子供の気持ち。それはそれでOKです。否定もなにもない。子供を自分の思い通りに動かすことが自分のやりたいことでは全然ありません。重要なのは心の平和です。相手への傾聴が平和をもたらします。
話を聞くのは相手を観察するためでもあります。連れ子はしゃべることは好きですが順序立てて考えることは苦手な感じです。算数の文章問題が全然できません。
連れ子はいいます。「決めつけないで!」「決めつけられるのがやだ」。そりゃそうだ。相手の話を聞くとは、決めつけないことも含まれます。相手のことは相手に聞かなきゃ分からない。私は子供に「どうしたの?」「どうしたいの?」「どうしたらいいの?」「あなたは何を大切にしたいんですか?」と聞いています。
・子供に期待しない
これが一番の喧嘩の原因なんじゃないでしょうか。相手に期待するということが。でもそこにはギャップがあるのです。現実と自分の思い込みの間にはギャップがある。子供に対してこちらが「これくらいできるだろう」「これくらいやってよ」と思っていても、そんなものは無理なのです。「靴くらいシャキシャキ履いてよ」とか「自分より小さい弟を叩かないでよ」とか思っても、現実は違うのです。ああビックリ。そして多分、連れ子に対してはこちらからの期待のハードルが思ったより高い。生まれた時から見てる子なら、コイツはこういう特性でこういうことはできてこういうことはできない、というのが分かります。だから期待と現実が遠くない。でも連れ子の場合は違います。いきなりデカい子の状態から子育てです。はっきり言えば相手はよく分からない異物です。こちらは子育て未経験者なのに。言えばわかるんじゃないの?とか、こんなに頑張ってるんだから懐いてくれるんじゃないの?とか、全部自分の思い込みです。さらに言えば、相手は相手でこちらによくわからん期待を押し付けてきます。いや無理だわ。無理無理。誰か助けて~。それでも、現実を受け入れて現実から出発するほかありません。自分の期待フィルターは捨てましょう。子供に過度な期待をしない方が平和に過ごせます。
子供に対して「できるのにやらない」「怠けている」「こちらをバカにしている」と感じるかもしれませんが、基本そういうことではないです。たぶんそれが今の相手の特性で限界なのです。特性は特性で認めたほうがすっきりします。
・自分の人生は自分で整える
自分の人生が安定していれば子供の言動で一喜一憂することも減ります。子供のことでいちいち怒ったり、ショックを受けたりしていると相手と安定した関係を築くのは難しいです。動揺しない心の余裕を持つためには自分の人生は自分で安定させておくことが重要です。まあ子供や配偶者がこちらの人生をなんとかしてくれるわけではないので。
・一緒に楽しく過ごす方法を考える
相手に嫌われてないなら一緒に楽しく過ごすのもアリです。連れ子が好きな遊びは人形遊び、公園に行ってBB弾を拾う、アンパンマンのDVDを見る、ザリガニ釣り、などだったので、それなりに付き合いました。最近だとカブトムシの幼虫を取りに行くとかドラえもんの映画を見に行くとかですかね。自分も結構楽しいです。
一緒にいろんな活動をしていると連れ子の才能に気付くこともあります。うちの連れ子の書く作文や4コマ漫画は面白くて笑えます。
・相手が困っている時は助ける
子供なんでうまく行かない時もあります。相手が困っている時に助けると信頼されます。うちの連れ子は宿題が嫌いですが、連れ子自身、宿題をやらないで先生に怒られるのも嫌なのです。そういう時に、連れ子は誰かに側にいて欲しがります。正直、「宿題なんて10分20分で終わるんだからさっさとやればいいのに」と思いますが、そんなことは言わずに一緒に部屋にいてやります。朝、宿題できてなくて学校に行きたくなくて遅刻しそうになった時は、途中まで一緒に学校に行ってやります。バカだねと思いますが、バカなことに付き合うのが大切なのかもしれません。
・干渉し過ぎない
子供にあれこれ口出しし過ぎてもウザがられます。当然です。自分だってあれこれ言われたくない。相手がこちらの話に聞く耳を持つかどうかは、それまでにつちかって来た信頼関係によります。力で相手に押し付けるのはパワハラですね。
・細かいことは気にしない
子供は元気で生きてりゃそれでいいです。子供はうるさいしバカだし転んで泣くしすぐ漏らすし時間も守らないし忘れ物も多いし物を壊すし散らかすし文句が多いし人の苦労も知らないし感謝もしないしこちらに要求ばかりしてくる癖にこちらの言うことはほとんど聞きませんが、まあそういうものです。じゃあなんで一緒にいるのか?多分自己満足です。こんなムズゲーやってる俺って結構すごい!?という。
・「いい親」になろうとしない
私は「いい父親」になろうと思ったことは一度もありません。「いい俺」であればそれで十分です。それは実子に対しても同じことで、相手がこちらをどう思うかは相手が決めることと思っています。自分は自分でいい。そう考えると自分の心は平和になります。自分の心が平和なら周りに八つ当たりしないで済むので周りも平和です。
・外部を頼る
子供の相手は簡単ではないと感じます。自分に余裕がない時に孤立無援だとしんどいです。相談できる場所があると自分の気持ちをぶちまけることもできますし、やり方のヒントが得られることもあります。「子供家庭支援センター」「スクールカウンセラー」「アンガーマネジメント講師」など、子育てやメンタルの調子を整えるのに役に立ちそうな外部機関とつながっておくと、適宜軌道修正や気分を変えることができて、おかしな方向へ暴走しなくて済みます。連れ子が学校で荒れた時も連れ子が下の子を叩いた時も、いろいろなところに相談したのでキレずに長い目で見ることができました。
市の教育支援センターでは子供の発達検査も受けることができました。連れ子はワーキングメモリが少し弱いそうです。
育児、親子関係系YouTubeにはお世話になってます。「てぃ先生」と「親力チャンネル」はよかった。
まとめ:結局はメンタルヘルス

いろいろ書きましたが、結局のところお互いのメンタルが好調なら破綻しなさそうということです。で、連れ子は連れ子で育った環境からメンタルに病みを抱えていて、こちらはこちらでそこまで余裕のある人生でもないわけです。そこが危ういところですね。自分の生活を安定させ、心の許容範囲を広げ、いろんな人に助けてもらいながら何とかやって来たというのが実際のところでしょう。いかに心を軽やかにして生き抜くかが重要だと思います。今後もしぶとく生き抜きたいと思います。
メンタルの調子が最優先かもしれません。連れ子は気質上メンタルの調子を崩しやすい。というかすぐ崩れる。こちらはこちらで生活習慣の違いや話の通じなさで疲れる。日常がストレスフルです。そこを、やり方を交通整理して整理整頓して整えて、笑顔で自分のメンタル保てるかが分かれ目だと思います。
最後に、私が目指してる子育て方針についてはこちらに書きました。よければ参考にしてください。
おまけ:それでもダメなとき ~知恵と勇気で緊急避難~
人にはどうしても受け入れがたいこともありますね。私は妻の考え方や振る舞いや生き方が嫌いです。妻の生き方は、ひねくれた子供がこじらせ続けて成長するとこうなるんだな、という見本だと思います。私自身、自分がもっと器の大きい人間だったら自分も家族も平和に過ごせるのに、と思って胸が苦しくなることもあります。しかし嫌なものや嫌なのです。受け入れがたいものは受け入れがたい。そんな時は正直なところ相手に「死んでくれ」と思います。でもそんな都合よくは行きません。それでも自分の人生は続く。なんとかメンタル保ってやっていかなければなりません。そんな時は相手を自分の精神世界から切り離したほうが楽になるかもしれません。以前にも挙げましたが、そんな時に役に立つ本を紹介しておきます。
離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本
緊急避難的に自分のメンタルを保ちつつ、可能ならその間に自分の心身を鍛えたり心の器を広げればいいと思います。
また、心の器を広げる方法として、私は「選択理論心理学」および「反応しない練習」がよいと思います。選択理論心理学については書籍もありますが、グループワークがよいです。人の失敗を聞いたり自分の失敗を打ち明けたりしつつ学ぶことで、自分の限界を広げることができます。特に、自分の中の古くさい考えや無駄なこだわりが自分自身の首を絞めている時はその縛りを外す手助けになります。
とりあえず選択理論の入門書は以下です。
人間関係をしなやかにする たったひとつのルール はじめての選択理論
選択理論の中に「上質世界」という概念が出てきます。上質世界とは、ある個人が「自分の幸せのためにはこれが要る」と考えている具体的な物や事(生き方や考え方も含む)のことです。その人独自の「人生に必要な宝物リスト」みたいなものです。あるとき私は妻を私の上質世界から外しました。するととても心が平和です。自分の人生を自分に取り戻せた感があります。それはそれでありだな、と私は思います。自分の上質世界は入れ替えられる、入れ替えていい、というのは選択理論で学んでよかったもののひとつです。
また、「反応しない練習」は自分の中の動揺に過度に反応しないメンタルを作るのに役立ちます。予想外のことに腹を立てやすい人、気持ちを引きずりやすい人におすすめです。仏陀も「相手のしたことを見るな。自分のしたことだけを見よ」と言っています。
反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
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