「叱る」という発想の人材はもはや時代遅れである。
日本の経済産業省が2050年を見据えて「未来人材ビジョン」を今年5月に発表した。そこにはこうある。
仕事に必要な能力として、現在は「注意深さ・ミスがないこと」、「責任感・まじめさ」が重視されるが、将来は「問題発見力」、「的確な予測」、「革新性」が一層求められる。
そのため、次の社会を形づくる若い世代に対しては、「常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力」「夢中を手放さず一つのことを掘り下げていく姿勢」「グローバルな社会課題を解決する意欲」「多様性を受容し他者と協働する能力」が求められる。
しかし、「叱る」という行為は「こちらの常識が正しく相手が間違っている」という前提にとらわれている。「叱る」という行為は何も掘り下げていない。「叱る」という行為は自分がスッキリしたいという刹那的な課題を解決するだけである。「叱る」という行為は相手の多様性を受容せず協力し合ってもいない。
つまり、叱るという行為により、時代に合わない遅れたお手本を子供たちに示している。
さらに、「未来人材ビジョン」では教育の方向性も示している。
そこで教育が向かうべき方向性として、「好きなことに夢中になれる教育への転換」「異なる他者との対話を通じて、協働的な学びを行う」「既存のルールや常識を疑い、作り直す力を育む」を示す。
しかし、「叱る」という行為は夢中になれることをやるのではなく、怒られないように苦痛を避けるという生き方へ子供を押しやる。「叱る」という行為には対話を通じて相手から学ぼうという姿勢がない。「叱る」という行為は既存のルールや常識にとらわれている。
つまり、叱るという行為により、子供たちが将来求められる考え方や姿勢を身に着けるのを邪魔している。
「未来人材ビジョン」は学校教育の未来の姿も示している。
これからの学校:
居場所や学年や時間の制約を受けず、1人1台端末とリアルを組み合わせ、「一人ひとり違う目標と教材選択で」「多様な内容を」「多様なペースで」「個別に協働的に」「主体的に」学ぶ
そこでは、多様性がイノベーションの創出に不可欠であると述べられている。
そこでは、自分の常識を押し付け、相手から学ぼうとせず、相手の主体性を奪う「叱る」という行為がいかに時代遅れであることか。
逆に言えば、ステップファミリーという多様なバックグラウンドを持った個人の集まりである家族形態は、適切に運営されればイノベーションを生み出すマインドを持った人材を生み出す土壌ともなり得るはずである。
子供たちと共に未来に向けて歩みたい。
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