小児期における逆境体験(ACE)

子供時代に過剰な逆境を体験すると心身に不可逆的なダメージを負うというデータがある。

それが小児期逆境体験(ACE)である。

心身に有害な逆境とは以下の10個である。

・心理的虐待
・身体的虐待
・性的虐待
・心理的な養育の放棄
・身体的な養育の放棄
・両親の別居(または離婚)
・母親の被暴力的扱い
・家族のアルコール中毒・薬物乱用
・家族の精神疾患や自殺
・家族の服役

これらの項目に当てはまれば当てはまるほど(ACEスコア)、その後の人生の予後が悪い。

例えば、ACEスコアが4点以上の人は0点の人と比べて以下のようなリスクが上がる。

虚血性心疾患 2.2倍
がん 1.9倍
慢性気管支炎 3.9倍
脳卒中 2.4倍
糖尿病 1.6倍
自殺未遂 12.2倍
過度の肥満 1.6倍
うつ症状 4.6倍
薬物の使用 4.7倍
性病への感染 2.5倍

これは、子供の頃はつらかったけど大人になって克服したから大丈夫、という話ではない。

なぜなら、研究によれば、小児期の逆境体験は細胞の正常な寿命を決めるテロメアを短くすることが分かっているから。

短くなったテロメアは元には戻らない。

子供の頃に受けた損傷は時限爆弾のように体内に残り、細胞の異常として中年期に爆発する。

そして子供期においては、逆境の影響は子供のストレス調整機能を機能不全にし、前頭前皮質を抑制し、偏桃体を過剰に刺激する。

それにより、ACEスコアが4以上であれば、学習や行動に問題が生じる可能性が32倍高くなる

そして、たいていのACEが世代間で引き継がれていく。

ではどうすれば有害な逆境の影響を低減できるか。

その影響を減らすためには、ストレスの影響を軽減してくれる大人の存在がカギとなる

その大人の存在が、子供のストレスによる神経系、内分泌系、免疫系の過剰反応を鎮め、テロメアの変化と心身の発達不全を未然に防ぐ。

逆に、子供の頃に受けた有害なストレスは、緩衝材となる保護者がいなければ、長期的に脳や身体に損傷をもたらす。

そして、妻の自己申告によれば、妻のACEスコアは6だ。

継子のACEスコアは4。

それにも関わらず、俺はよくやっている。

今回の内容は、『将来継子と一緒に学ぶことリスト』に入っている。

連鎖はここで終わりだ。俺がとどめを刺す。

参考文献 小児期トラウマと闘うツール――進化・浸透するACE対策

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